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背景も登場人物もリアルを追求。刑事ドラマ「ストロベリーナイト」 [映画]

こんにちは。

西島秀俊さん、結婚しましたね。
おめでとうございます?

今ではドラマや映画にヒッパリダコですが、過去はこんなエピソードも。

デビュー当時所属していた事務所では、彼をアイドル路線で売り出したかったようです。
それに反対し俳優としてやっていきたい一心で事務所と正面衝突。
西島さんは事務所移籍と引き換えに民放ドラマ五年間出演禁止という条件を飲まされました。


その間、彼がしたことは映画をひたすら観ること。食事をとる時間さえ映画館に行くことに費やし、そのすべてを役作りにぶつけたそうです。


本当かどうかはわかりませんが、MOZUでみせた倉木という役柄のように、西島さんも私生活ではかなりストイックなようです。


これからももっと多種多様な役を演じて、日本を引っ張っていってほしいですね。



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背景も登場人物もリアルを追求。

『ストロベリーナイト』

著者:誉田哲也
主演:竹内結子  西島秀俊 小出恵介 宇梶剛士 丸山隆平 武田鉄矢
   生瀬勝久 高嶋政宏 遠藤憲一 渡辺いっけい ほか


西島秀俊さんが結婚されたから紹介してるわけじゃありません(笑)

ずーっと観たくて最近ひたすら観続けていました。

そしたらご結婚ということで…

かなりの女性ファンがいらっしゃるということで世間では悲しみの叫びが多いようで…

またまたお相手が”一般女性”というから余計に世の女性にとっては悲しいのでしょうか(笑)



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あらすじ

このストロベリーナイトは小説家・誉田哲也さんの作品でして、実際に誉田哲也さん著作の”ストロベリーナイト”の内容は連続テレビドラマが始まる前の1話だけのスペシャルドラマで放送されています。

その後連続ドラマ可するにあたり、
誉田哲也さんの小説『姫川玲子シリーズ』の”ソウルケイジ”、”シンメトリー”、”感染遊戯”の3作品からなるドラマです。

そしてドラマの次は映画で、これもまた誉田さんの”インビジブルレイン”という作品が題材です。

そして最後にアフター・ザ・インビジブルレインという映画の後の主要登場人物個々の話があり、映像のストロベリーナイトは終わりです。
(映画公開記念でストロベリー・ミッドナイトという10分間のショートドラマはここでは除きます)


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このストロベリーナイト、著者の誉田哲也さんは警察内部を非常に繊細に描く内容で高い評価を得ており、ドラマ化するにあたっても、かなりリアルに制作されています。


日本で刑事ドラマの中では1番と断言していいほどリアルに作られています。


なので、ドラマの中でも刑事が使う専門用語が多いので、わからない単語が出てきたらすぐググってもらうとより楽しめると思います。

優秀なブログを書く人であればその専門用語をこのブログに載せるんでしょうけど、すんません(笑)



事件に関わる遺体も、民放ギリギリの表現でつくられています。

原作をいかに忠実に再現していくかという制作側の熱意も伝わります。




そして誉田哲也さんがもう一つ著作で高い評価を得ているのが

女性を主人公にした小説。


このストロベリーナイトも、『姫川玲子シリーズ』の中の作品です。


そして姫川玲子演じる竹内結子さん。


この作品で初の刑事役。


これが凄い。



女刑事が出てくるドラマで最も有名な作品は”近年”ですと、アンフェアといっていいかもしれません。(BOSSなどもありますね。キリがないのでここはアンフェアで!w)

ストロベリーナイトの刑事役が竹内結子さんと聞いて

世の中の方達は「ちょっと違うな・・」と思った方も多いと思います。





確かにアンフェアの主人公役の篠原涼子さんはハマり役で確かにかっこいい。


しかしアンフェアの少し現実離れした作風とは違い

この菊川玲子シリーズは

よりリアルに、女の、刑事、という、現実世界にいてもおかしくない人間の姿を

等身大に捉えている作品です。




警察の組織、捜査のやり方、そして人間模様。
その全てを現実というリアルな世界に近づけて書いた作品。




なぜ彼女は刑事になったのか。

そして刑事になった自分の生き方はどうしていくのか。

その理由や心情が作品の中に散りばめられています。




菊川玲子を演じることができたのは竹内結子さんしかいなかったかもしれません。



美しいです。


そして、かっこいい。


そして等身大の女刑事を見事に演じている彼女を

女性も男性も是非観てほしいです。





もちろん、他の出演者の方も見所ですよ。


あ、西島秀俊さんもかっこいいですよ(笑)




観る順番です。
ストロベリーナイト(スペシャルドラマ1話のみ)
    ?
ストロベリーナイト(連続ドラマ)
    ?
ストロベリーナイト(映画劇場版・インビジブルレイン)
    ?
ストロベリーナイト(アフター・ザ・インビジブルレイン)

です!





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人々という大海原に辞書という船を。映画『船を編む』 [映画]

こんにちは。

僕は仕事に従事するときに決まって大きなミスを必ずどんな現場でも
どんな仕事でもやってしまいます。

小さなミスからスタートするなら精神的にもまだいいのですが
結構大きなミスをしてしまうんです。

すっごい気まずい。

最初にそんな大きなミスを仕出かすもんだから
『もう、クビでいいです』
とか
『お金はいりません』
とか言ってしまいます。
(実際にそれでクビになってしまった人もいるぐらいの大きなミス)

でも大体回りの人は厳しく、且つものすごく優しくて
僕の大きなミスを受け入れて次に繋げてくれます。

なんて幸せものだ。


だから僕はいつまでたっても調子に乗ることができません。

常に謙虚でいたい。
いや、いなければならない。


大きなミスをした人の気持ちが痛いほどわかるから。


きっと神様は、僕に最初に大きな失敗をさせることで

気持ちがわかる人間にさせたいのかもしれません。

好かれても、嫌われても、かっこよく生きていたいですね。



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人々という大海原に辞書という船を。


映画『船を編む』

著者:三浦しをん
監督:石井裕也
出演:松田龍平 宮﨑あおい オダギリジョー 黒木華 渡辺美佐子 池脇千鶴 鶴見辰吾
   小林薫 伊佐山ひろ子 八千草薫 ほか



実にいい映画でした。

僕はこういった”伝記”のような類の映画を観る事はほとんどありません。


しかし、いざその世界に魅入ってしまうとその凄さに圧倒されます。


今僕達の身の回りにあるもの。

自動車や電話、パソコンにテレビ・・・・・と数え上げたらきりがないですね。

それらは紛れもなく、僕達と同じ”人”が作り出したものです。


どれだけ研究と体力、年月や忍耐、努力をつぎ込み作り上げたものなんでしょうか。


もう深く深く、深く想像するだけで奇跡のような気がしてきます。


今回の映画は、辞書です。

辞書を創る映画です。


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あらすじ

玄武書房に勤める編集部員・馬締光也。
玄武書房の辞書編集部に才能を認められた馬締は、新しく刊行する辞書『大渡海』の編纂メンバーとして辞書編集部に迎えられた。
個性豊かな辞書編集部と共に、多大な歳月がかかる辞書を制作していく。



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もう一度言うと、本当に素晴らしい映画でした。



みなさん、辞書ってどのくらいで世に出せると思いますか?


僕は1、2年だと思っていました。


作中に出てくるのですが、ある辞書は27年の歳月がかかったそうです。


そしてこの映画に出てくる”大渡海”のコンセプトは

「今を生きる人達への辞書」です。


今までになかった現代語(ダサい)なども含めた超現代的辞書です。



こうして書いていると、辞書がどうやって作られるのかをサラサラ書き進めてしまい

そうですが抑えます・・・




辞書って、僕のイメージとしては

超真面目で、頭が痛くなるほど文字!!文字!!文字!!!文字!!!

ってかんじで、日常生活でまず開かない書物の一つです。


ロボットというイメージでしょうか。



でもこの映画を観て、僕は”辞書”が、制作した人の愛や思いやり、優しさ、

たっぷりの様々な感情が散りばめられている書物なのだと再認識

しました。



辞書にある言葉には、語釈といって

その言葉の解釈が載っていますよね。辞書なんで当たり前なんですけど。

その語釈は万人に優しく、簡単に分かるようにしなければ成らないんですね。



例えば、あなたなら、『最悪』という言葉の”語釈”をつくるのならば


どういった文章にしますか?



そうなんです。


語釈という言葉の説明は、”人”が考えたものなんです。



さらに。更に例えば、あなたが彼女にふられたとします。

家に帰って、「あぁ、そういえば”最悪”の語釈頼まれてた・・」


と机に向かったらどうでしょう。


そのときあなたは、『最悪』の語釈をどのように作り上げるのでしょうか。



多分あなたらしい、そのときの感情がたくさん詰まった語釈が生まれるはずです。




出演者も本当に個性的でとてもこの映画に映えていました。

オダギリジョーさんの役柄には少しヒヤヒヤしましたが・・。(彼はとてもクセの強い配役が多いので)




温かい映画でした。


特に若い方には特にみてほしい映画です。






最後に、僕がもう一つこの映画で感服したのが

タイトルです。



「船を編む」


このタイトルの意味がわかりますか?


この映画を観終わったあと、なぜこのタイトルが生まれたのか

考えてみてください。


すごく素敵な、完璧な、最高な映画タイトルだと思っています。






思わず観終わったあとに辞書が開きたくなります。


是非、おすすめです。










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11月7日エピローグ [映画]

11月7日エピローグ

彼女の部屋を見渡すと、写真立てに飾られた家族の写真があった。

それも3家族ほど。


それは一家心中の事件が起きた家族達の写真だった。


そしてその中でも、一つだけ大きな額縁に不自然に飾られた1枚の写真。


拓巳の写真。


彼は数年前自殺をした。


理由はわからないが、突然のことだったらしい。

ただ、拓巳の家族は全員生きている。


この女は、拓巳が死んでしまってから壊れてしまった。


よくみると、耕太と拓巳は背格好や肌色、髪質がとてもよく似ている。


代わりを探しては、限界となった拓巳代わりの人間は自殺し、そして家族を全員に死を与える。


拓巳の代わりが死んでしまったら、代わりの家族もいらないというわけか。


耕太は、毎日、彼女に拓巳の好物だったというハンバーグを3食与えられ続けた。

耕太もハンバーグが大好きだが、もう3食ハンバーグを3週間続けている。

3週目を迎えるとき、耕太はハンバーグを食べては吐き、それを繰り返した。


彼女は『味が変だった?』と慌てた様子でもう一度ハンバーグを1から作り出す。


無理矢理食い、吐くのを我慢し、トイレの大をしに行くと彼女に告げ、静かに、静かに息を殺して吐く。


もう耕太の精神は限界に近づいていた。



そして耕太は、彼らと同じように命を絶った。
その翌日、また一家心中が起こったことは言うまでもない。




今日も、どしゃぶりの雨が降っていた。

いそいで雨宿り処を見つけて空を、雨を見つめながら、独り言をつぶやく。

「まいったな」

煙草に火をつける。


すると、向こうの方からこちらに走ってくる人の姿はあった。


彼は自分のいる場所に向かってくる人の姿を女と判断した。
近づいてくるにつれ、彼は高揚する。


恐ろしく可愛らしさを兼ね備えた彼女は男の元に辿り着いた。


彼女は走ってきたせいか、少し息を切らし雨で濡れた前髪を華奢な指でかき分ける。


かき分けて覗いた目に彼が映った。

彼も、彼女を見つめていた。


彼女は笑いかける。


「たばこ、ちょうだい」






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小説もドラマも同時に。2倍楽しむ。『Nのために』 [映画]


こんにちは。
最近人身事故に遭遇する確率がかなり高めです。

人身事故を自殺ばかりと思っていましたが、約60%は酔っ払いの方だそうです。

酔っ払って電車に引かれてしまうなんて
それこそ”最悪”ですよね。


そんなこんなで電車に乗っていたら、人身事故が起きて運転再開は1時間30分後ということ。


色々と迂回すれば帰れないこともなかったのですが、ゆっくりする機会が与えられたと思って、人々が他の電車を利用し、すっかりもぬけの殻になった車内で小説の続きを読みました。
その本が『ぼくのメジャースプーン』でした。

残りページ数が少なかったこともあり、15分ほどで読了。

素晴らしかった。

少し余韻に浸ると、今止まっている駅は赤羽駅だったことを思い出し、そして駅構内にエキュートがあったことも思い出しました。

最高だ。

電車からいったん降りて、本屋に向かいました。

本当はぼくのメジャースプーンの次作を購入したかったのですが、無い囧rz

しかし、何か読みたい。

悩みました。

もう無理して買わなくていいんじゃないか。というほどに。

決心して、話題性もあったので手にとったのが小説『Nのために』

ドラマやってたっけなー、でももう8話ぐらい進んでるんだろーなー。


ドラマ面白いのかなー。


って思ってたら小説を購入した時点ではまだドラマは3話。

偶然にも(本当にこれは偶然だった)、家に帰ったら『Nのために』が録画されていました!


小説とドラマ、同時進行で読み、見進めるのも面白いじゃないか。


ということで(笑)

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あなたは、誰かのために嘘をついたことがありますか。

どのくらいの重さで、想いで、誰かのために行動できますか。

あなたが一番尽くしてあげたい人のアルファベットはなんですか?


『Nのために』
原作著者:湊かなえ



あらすじ

ある夜、都内のタワーマンションで事件が起きた。
現場ではタワーマンション所有者兼住居中の野口夫妻だった。
その場には事件発生日時に行われるはずだった野口夫妻とのパーティに関わる人間4人がいた。
犯人は自ら名乗りをあげ、それぞれの事情聴取でも不自然な点はない。
事件は解決したのだが…
その場に居合わせた彼らには秘めたものがあった。


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こうして、原作本とドラマが同時期に観られるというのは嬉しいです。


当然(?)小説の方が早く見終わるので、ドラマは後を追って行くという形です。
もちろん、人の好みで原作・映像のどちらを先にラストを迎えるかも、ご自分の好きにして
いいでしょう。


これだけはネタバレしてしまうのですが、小説とドラマ(といってもドラマは最後まで観ていない、まだ観れないので)かなり違いがあります。


最初の1話目でもうここまで進むのか!
と同時に小説では初頭に出ていたシーンがドラマではなかなか出てこなかったりと、渋谷のスクランブル交差点のようにクロスに交わっているような感覚を覚えます。


やはりテレビドラマは”メディア”の代表。
視聴者が物語に入り込みやすいような展開を作りあげていきます。


小説は言葉、文章で人の状況や気持ちを繊細に詳細に人に伝えられことができるけど、映像だとやはり言葉より時間がかかります。


どちらも、魅力があります。


ドラマは原作を越えられないといいますが、一般の方に約11回、月でいうと2ヶ月半もお付き合いしてもらうようにするには、脚本の見直しやストーリー展開の進行は大変な作業だったことでしょう。


低視聴率が問題視されている昨今のドラマ事情。

決して僕はテレビ局の回し者ではありませんが、こうして原作とドラマを同時進行して目を通してみると、自分の中の楽しみが1つ増えて、なんだか贅沢している気分になります。


原作とドラマや映画をなるべく近い時期で見比べて、自分の中で見解を述べるサークルとかあったら面白いなー(笑)


今回は、こんなテレビドラマや小説の楽しみ方があるんだっていうお話でした。


近日公開の映画で自分が観たい映画などあれば、是非原作があったら読んでみてください。


2倍楽しむとは、こういうことですね。



ってほとんど「Nのために」の物語の内容に一切触れていない今回のブログ。

いいのかな。

いいんですかね。


これが僕のやり方。





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11月7日その三 [映画]

部屋の中に入ると男の死体があった。

耕太は驚愕した。

部屋に入る目の濃厚なキス。
十分に張り上がった彼の下半身。
彼女との濃厚な接吻。
唇が離れた後の彼女が見せた女の顔。
ずぶ濡れになり透ける下着。
濡れる太もも。

それら見たもの、感じたもの、そして”した”こと。

彼女の部屋に入ったら、その先の続きが出来ると思っていた。

部屋に入り、もう一度彼女を抱きしめ、口づけを交し、ベッドに押し倒し
それからーーーーーーーーーーー。




そんなことは、断じてなかった。

死体を、見つめることしかできなかった。

彼には恐怖しかなかった。
死体を見たこと。そして死体があること部屋になんのためらいもなく
通した彼女。

”俺も、殺されるのか”



『びっくりした・・・?よね』
続けて 
『言ったでしょ?彼の死体があるって』

言った。確かに言った。言ったけど。言ったけど。
実際吐き出す言葉にはならなかった。



耕太は男の死体をマジマジと見た。
そして不審な点が死体にはあった。


彼女が言う”彼”の死体は、部屋のドアノブで首を吊っていた。
そして、胸に、包丁が刺さっていた。
抜いていない、そのままの状態で。




”どっちが死んだ原因なのか・・・”


耕太は恐る恐る訪ねる。
『首・・・吊りで死んだ・・・のか?それとも・・・』


彼女は悔しそうに言った。
今まで、みたことも聞いたことのなかった表情と口調で。
『自殺してた・・・・!!許せないから、絶対に許さない・・・』
『だから私も刺した。許せないから、死んでいったことが許せないから。』
『私が刺した!私が殺したの!!!』
『どうしてよ・・・拓巳・・・』

そうしていきなり泣き崩れる彼女。

耕太は、怖かった。ただただ、恐怖を感じていた。


この女は狂ってる。

関わってはいけない。


ここから逃げ出さなきゃいけない。



『お願い。あなたが、拓巳の代わりになってよ!!』
『私の身体も、何もかも、全部あげるから!!』




耕太は動転した。何を言ってる?
代わり?
全部あげる?



『拓巳がいないと、私生きてけないの。だから、あなたが代わりに、




『拓巳になってよ』





耕太は身震いした。
”拓巳になってよ”その言葉は、もはや彼女の声ではなかった。

言葉で人を恐怖の底に縛り付けるような声。
自分を恐怖で縛りに来る彼女を耕太は大声を出して抵抗した。




『なれるかよ!!!は?あんた、イカれてるよ!!!!
わかる?頭イカれてんの!!壊れてんだよ!!!たく、たくみ?
いないと生きていけない?だったら死ねよ!!!!それでいいだろ!!
おれを巻き込むな!!!!』




彼女はうつむいたままだった。



もう意気消沈しているのだろう。

耕太は何故か勝ち誇ったように、自分の大声で相手を沈めたことが
少し彼を落ち着かせた。


少し口角が上がるのが自分でもわかった。


彼女はヒクヒクと泣くばかりで顔を上げようとしない。


耕太はこのままこの場を去ろうとする。

彼女に背を向け。足を玄関に運ぶ。






玄関のドアに手が届きそうなときに、


彼女の声が聞こえた。


耕太はその声に驚いた。

そして彼女と今日会ったときから今までのことを走馬灯のように必死で
振り返る。



知らないはずだ・・・・・


もう一度、彼女の声がした。


震えが止まらなかった。



彼女は、知らないはずの、自分の名前を読んでいた。


『行かないでよ。立花耕太くん。』

その声で呼ぶ彼女は


さきほどとは正反対に、不気味な笑みを浮かべて耕太をみていた。



耕太はその場で凍り付く。




『行かないでよ。もし行ったら』


『この人達、彼と同じ目に合わせるから』


そういって耕太に近づく彼女の手元には一枚の写真が握られていた。



その写真に写っている人物に耕太は驚愕する。
”その場に倒れ込む”そんなの映画の話だげだと思ってたけど
本当に足の力が抜けた。ペタンと、その場で耕太は崩れた。

『ふ、ふざけたこと言うなよ・・・』


写真には、耕太の母、父、妹、弟、そして自分という家族が写っていた。


『ふざけてないよー♪』
『この今死んでる人の家族だって、みーんな死んでるもん。昨日ニュースでやってたでしょ?』


恵比寿の一家心中。


耕太はさらに凍り付いた。


昨日夕方のニュース、夜のニュース、そして今朝のニュースにも
大きく取り上げられていた。


『お前・・・まさか・・・なんで』


彼女は笑う。
『なんで?決まってるじゃない。』
『こいつが拓巳になりきるのを放棄して勝手に死にやがったから♪』
満面の笑みから、悪魔の顔に変わる。



「絶対に許さない」



耕太はもう、感情を失ってしまった人形のようになった。
言葉が出ない。
表情も作れない。




俺は。


俺は。




家族が

殺される?


この女はなんだ?


どうして?


なんだ?



え?


どうして?


どうして?



家族?



が殺される?




どうして?




彼の頭の中はその思考だけでグルグルまわっていた。
どうして?





女は上着を脱いだ。

一気にキャミソール姿になり、あらわになる彼女の白い腕、鎖骨、胸元。


『耕太くん。んーん。拓巳。さっきのエレベーターからの続きしよっ。』


そうして彼女は耕太の腕を恐ろしい力で引っ張る。




耕太は呆然と連れられ。



ベッドに押し倒された。



みずから服を脱ぎ、白い裸の彼女を耕太はみなかった。


”みなかった”というよりは意識しなかった。
できなかった。


頭の中をどうして?のグルグルがまわる。



今耕太の目はまっすぐ、天井しか見えない。



服をなすがままに脱がされる耕太に彼女が乗っかる。




彼女が喘ぐ声と天井の白い色。


それだけしか、今の耕太には感じられなかった。





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道徳のバイブル。小説『ぼくのメジャースプーン』 [映画]

こんにちは。

来年の話ですが、久しぶりに友達の結婚式に呼ばれました。

あまり連絡は取っていなかったけど、こうして結婚式に呼ばれるのはやっぱりすごく嬉しいです。


しかも式場は、


ディズニーのホテルミラコスタ。

すげー。

そんなに友達もいないので、一生ここの結婚式場に足を踏み入れることはないと思ってました。


ディズニーの結婚式場はフォトグラファーやムービーカメラマンを外部から呼ぶことはできないそうです。

他にもそういった式場は数多く存在するのですが、ディズニーにそう言われたらなんだか納得してしまいますね。

どんなフォトグラファーの方なんでしょう。
むしろそこが結構楽しみだったりします。

夢の国。


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小説

『僕のメジャースプーン』

著者 辻村深月

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人を殺してはならないことを、ほとんどの人が知っています。


だけどそこになんらかの事情や私情が絡むと、僕は人を殺すことがいけないんだという思考が曖昧になってきます。


もちろんそれで人を殺したとして、”どうして罪になるの?”と首を傾げたりはしません。刑罰は受けます。
罪とは別の、自分の中の気持ちで殺してよかったと思うこともあるかもしれません。


例えば、1000mgという動画サイトを皆さんは知っていますか?
真面目に注意を促すと、世界のグロテスクな衝撃映像が閲覧できるサイトなので、そういったのが苦手な方は絶対に、絶対に、もう一度、絶対に見ないでください。これはフリでもありませんよ?


あるとき、小さなきっかけでそのサイトを覗くと、動画で親ネコが子猫3匹を散歩に連れていました。

すると、男が来てその子猫の中の一匹を踏み潰します。何度も何度も踏み潰します。何度も何度もです。
ふるふる震えて尚立とうとする子猫を蹴飛ばし、踏み潰します。
みなさんがこの文書で想像するより、何度もです。


そんなに踏まれた動物がどんな形になっているか、僕は想像もできません。それぐらいに。


親猫は、それを阻止するために唸り、男に向かって近づいて小さな威嚇をするのですが、男はその親猫をも蹴飛ばします。


よろめきながらも親猫は男に近ずくのですが、親猫が近づこうとすると男は親猫に向かって足を上げるので、親猫も逃げるしかなく、自分の子供が何の理由も無く、ただただ潰されるのを遠くから見ているしかありません。

子猫は3匹いると言いました。

男に何度も踏み潰された猫にもう息はないでしょう。

こんな残忍な現場になると、1匹の猫だけでよかった。
と、
悲劇が起きたけども、まだポジティブに捉えることも可能ではあります。


しかし、男は違いました。
1匹を踏み潰し殺した後、恐怖で動けない残り2匹の子猫も順番に踏み潰していきました。
何度も何度も。何度も何度も。




この男って、死んだらダメなんですか?
殺されたらダメなんですか?
そして、殺したらダメなんでしょうか?



もしこの親猫が
人間の言葉を理解して、ボクの元に来て、『くやしい くやしい でも自分のこんな猫の小さな姿では 人間であるアイツに何も手を下せない お願いです アイツをどうにかしてほしい おねがい 』

と言われたら、ボクは行動に出てしまうかもしれません。


みなさんなら、どうしますか?




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あらすじ

ぼくの小学校のうさぎ小屋でとんでもなく残忍な事件が起きた。

最初にそのうさぎ小屋を光景を目の当たりにした、ぼくの大切な、自慢の友達ふみちゃん。

彼女は、壊れてしまった。

ぼくに眠っていた”力”。

そいつを使って、ぼくはあいつを酷い目にあわせてやりたい。

ふみちゃんを壊してしまった、あいつを。


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この小説は、ある残忍な事件に対して人はどう行動するのかという問題を突き詰めた物語です。


正しいことはなんなのかでもなくて、間違っていることはなんなのかでもありません。

本当にこの道徳という問題は厄介で、人の数だけ答えがあります。

正解という答えじゃありません。

単なる”答え”です。

もはや”答え”じゃないな…

”形”ですね。


冒頭で僕が話した猫の話でも

僕は行動にすると言いましたけど

家族や恋人、友達。
僕にもたくさんの大切な人がいます。

その人達のことを考えると、躊躇することは間違いありません。


罪や行動は、決して1人のものじゃないということ。

必ず誰かが、そしてまた誰かが関わります。



あなたが普通に生きていて、
人を憎み、それでも憎しみが収まらなかったりしたとき、答えを導いてはくれないけれど、この本はほんの少し、そんなあなたに寄り添ってくれるかもしれません。


本当はそんなに憎むことがなく生きていければいいのだけれど。

人はどんな目に、どんな状況に陥るかわかりません。

ほぼ毎日、誰かが殺されたニュースご流れるこの世の中。

他人事ではないかもしれません。

是非、この本を本棚に仲間入りさせてあげてください。






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11月7日その二 [映画]

雨が降ってきた。

大粒ではないが、量は瞬く間に激しくなり、二人の煙草の火は雨によってすぐに消された。

急いで雨宿りの場所を探さなければ。

つい先ほどの自分のペースにしようと彼女に問いかけた質問も
この雨のせいで無かったことのようになってしまった。

彼は歩を進めた。


しかし彼女はその場から動かない。

大量の雨が降っているというのに、それを受け止めるかのように
その愛くるしい顔を空に向け、雨に打たれていた。

その姿は神秘的に見えた。
彼女の顔に打たれる雨だけが、白い肌の色を反射して光っているようにも見えた。
彼女の表情は何かを決意しようとしているようにも、何かを後悔しているようにも見えた。彼女が真っ当な人間であればの話だけれど。


見とれている彼を目覚めさせたのは雨の強さがさらに激しくなったからだった。
『行こう。』彼女に話しかける。


今まで彼の存在に気付かなかったかのように彼女はハッとすぐに顔を戻した。

彼女の顔はずぶ濡れだった。
お風呂に潜って出て来たときのような。



『私のうちに来てくれない?』


彼が返事に困る前に、彼女は彼の前を歩きだした。




彼の思考は、もう言葉を吐き出せないほど頭がいっぱいだった。
突然の天使のような彼女の登場。
そして、彼女の恋人は死んでしまった?
彼女が殺したのか?自殺なのか?
そして、今彼女が言ったこと。
”私のうちに来てくれない”
死体がある家に?
そんな馬鹿な。
それともそんなのは全部嘘っぱちで、
彼女の家に行き、二人で冷えた身体にシャワーを浴びさせ
今雨に打たれ冷えきった身体を二人重なり合って温めようと言うのか。


現実味の湧かない少しばかりの恐怖感やりは、こんなに顔のいい彼女の家に行き、その先の想像を現実したい思いの方がこの時点ではまだ優っていたのかもしれない。


彼は彼女についていく。










二人の間に言葉は交されなかった。

交されたとしても、きっとそれはこの豪雨に掻き消されるだろう。

そうだ。

黙って彼女に付いていけばいい。

神様がそうお告げしているんだと無理矢理思うと、少しばかり納得した。



この大雨の中をこの日本、いや、先進国で歩き続ける人間がいるのだろうか。
確かに時間にすれば10分ほどしか歩いていないのかもしれないが、いくらなんでもこれはない。


それにさっきから彼女は一言も喋らない。


二人の服はずぶ濡れというにはあまりに軽い表現だった。
服の色は変わり、肌にぴったりくっつき、皮膚と一体化しているようだった。
むしろ、雨に二人は溶け込んでしまったと言っていい。
二人の姿は、雨が降りすぎて作り出した魔物のようだった。


彼はふと前を見ると、彼女がいなかった。
いや、いた。先に。
いつの間にか随分と二人の距離が離れていた。


よく見ると彼女はもう歩いていなかった。なぜなら、彼女はアパートらしき建物のエントランスの前で止まっていたからだ。


彼女は自分と随分距離が離れた彼をみて手招きした。


着いた。
着いた。


もう身体の温度が通常より随分低い。
意識が朦朧とするわけではないが、彼女の手招きに急いで応えられる気力はなかった。

それでも手招きを続ける彼女は天使か悪魔か。


ようやく彼女の元に辿りついた彼はそのままエントランスに入り、二人でエレベーターに乗る。


『随分濡れちゃったね、ごめんね』
彼女はそういってエレベーターの中に一緒にいる彼の唇をいきなり奪った。


驚いた彼だったが、彼女の唇や吐息は温かく、夢中で応えた。

キスがしたい。
なんていういう動機ではなく、冷えた身体をこの行為で温めるかのように必死で舌を交える。


止まるエレベーター。

開かれる扉。


それでも二人の唇、舌の交わりは止まらなかった。


この体温に慣れてきた彼は、次第に気力を取り戻し、本来の男である本能を取り戻し彼女の胸を掴んだ。


そのまま先に進もうとする彼に対して、彼女は彼からそっと離れる。

『部屋に上がって』


そう言われた彼は、ここがエレベーターだということにはじめて気が付いた。


『そう、だね。』

彼女は彼の手を取りエレベーターの扉を出る。

903号室。

ここ。

彼女が扉を開ける。
鍵は、かけていなかったのか。


扉を開け、靴を脱ぐ。
彼はただの男になっていた。

もう一度彼女を自分に近づかせ今度は彼から彼女の口元に向かう。


彼女はそれには応えなかった。
彼の舌は、彼女には届かない。


焦らないで。


ドラマのようなセリフ。
言われてみたかった。

確かに、このセリフは、グッとくる。
彼は興奮をなんとか抑え、部屋に向かう彼女の後ろについていった。


彼女が扉をあけ、彼も入る。



彼の興奮は、一気に冷め切った。



そこには、つい何分か前に彼女と話していた光景が広がっていた。



部屋の中には、男の死体があった。






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小説は感情の宝庫。『子どもたちは夜と遊ぶ』 [映画]

こんにちは。

後輩の子供が、僕にとって人生で最高峰ぐらいに懐いてくれていてとても嬉しいです。

こんなに子供は可愛かったのか!
と自分の今までの子供嫌いがどっか行ってしまいました。

更にはその子が、こんな僕に会いたがってるなんて言ってくれてるらしく、とても嬉しいです。


昨日から天気が崩れていきなり寒くなってきました。

気のせいか、周りで咳き込む音が多く聞こえるようになったかな。

みなさん、季節の変わり目です。


お体ご自愛ください。


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小説

『子どもたちは夜と遊ぶ』

著者:辻村深月

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僕は小説を買うときに、表紙をみて買います。

表紙と、タイトルがマッチしてたら買っちゃいます。


あと、基本的に(上)(下)に分かれているものすごい長い小説は読みません。

『小説にそんな長い時間かけてられるかー?』って思うからです。


この『子ども達は夜と遊ぶ』は友達の紹介で読みはじめました。

本当は別の作品をオススメしたかったらしいのですが、その作品の前作が少し繋がっているというので、僕もその前の作品から読もうと思ったわけです。

それが『子ども達は夜と遊ぶ』です。


書店で見つけて、僕はそこではじめてその本が上下巻あるというのを知って、


マジかよ…
長え?読むのむんどくせ?…と思ってしまいました(ごめんなさい)

しかし、そんなことを思った自分は一体どこに行ったのか。

僕はこの小説を歩きながら読み進めていったほど度ハマりしてしまったのです。



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あらすじ

1人の受験生の失踪から始まったゲーム。『i』に会うため……、ゲームが終わったら『i』に会える。そう信じて次々と『i』との殺人ゲームを進めていく『θ』だが、次第に彼の心は疲れていく。このままゲームを続ければ、周りの友人が悲しむのは必定、そうと分かっていても『θ』にはそれが出来なかった。一方通行の片想い、掛け違った恋のボタン、残虐な殺人ゲームの結末は……。
(参照:Wikipedia)


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小説は感情の宝庫です。

こればかりは、どの芸術作品も未だ勝てない。と、思っております個人的に。

文字から連なる文章が、最強です。



登場人物はほとんどが皆大学生。

このぐらいの年頃の登場人物が出てくる小説が僕は大好きです。

若くて、勢いがあって、まだ思春期も残っていて、悩んで、大抵の物事はわかっていて、葛藤して、恋を思う存分楽しんで、仲間が出来て。


そんな世代から織りなしてゆく物語が、好きです。


あらすじを見ての通り、残念ながら(?)
いわゆる純粋な青春小説ではありませんが、登場する人物達はみな青春を生きているはずです。


小説は感情の宝庫ということで、この小説は僕が読んだ本の中でも、様々な感情表現が散りばめられている上位作品です。

登場人物それぞれの立場から放たれる愛や悲しみはまるでオーケストラのようです。(なにがオーケストラだよ…)


愛、友情、孤独、忘却、憎、怒、悲、死、様々な感情を経験した先には何が待ってるのでしょうか。


相変わらず何も面白い紹介が出来ていないのですが、
こいつ何を言ってるんだと思われていることは百も承知ですが、

この小説が面白いことは500%事実です。


とりあえず何かに没頭したいと思っている方。

是非この小説を読んでみてください。

人の人生を読む。

小説の醍醐味ですね。



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11月7日その一 [映画]

タバコの日が夜の都会の空に登っていく。

そのまま空まで届けばいいのだが、肉眼で確認できる高さでその煙は姿を消してしまう。

何度も吸って、吐いて、煙を出す。

空まで届け。

気持ちを吐き出すように煙を吐き出す。

消えることなく、空まで届いてほしい。

消えることなく、しっかり届いてほしい。








ずっと煙と共に空を眺めていたままだったので気づかなかった。


顔を元に戻すと目の前に女がいた。


女というよりは、女の子。

高校生か、大学生になりたてなのか。
制服は来ていなかった。

そう見えたのは、美しさではなく、可愛いという印象を見た瞬間感じたからだ。

肌は月のように白かった。

僕と目が合うと、それまで真顔だった顔に笑みが足された。


僕はこのドラマのような展開に少しドキリとした。

彼女は僕と目が合うなり
『タバコちょうだい』


驚いた。タバコを吸うのか。


『…あ、はい』
普通ならば未成年か確認したほうがいいのだろうか。
そんな硬い格好を見せたら冷めるだろうと思い
『どうぞ』と箱ごと渡す。
なんで敬語なんだ。


彼女はタバコを一本抜き取り
少し疑問な間を空け、


『火は?』


あぁ、自分の左手に持っていたことを忘れていたライターを彼女の顔に近づけ火をつける。


『どうぞ』


『ありがとう。優しい』


そうやって顔を近づけライターに照らされた顔は凛とした可愛さだった。

できもの一つない白く柔らかそうな肌。

目が大きく、綺麗な二重を顔に刻み込み睫毛は本物で長さを十分に保っている。

顔は僕の半分しかないんじゃないかってぐらい小さい。

これは、ヤレる…のか。

こんな考えしかできない自分にいざ土壇場となると、軽く人間として器の小ささを感じる。


そんな僕の見え透いた心の中の気持ちに返事するように彼女は煙を吐き出しながら言う。

『私とやりたい?』


なんだ、この男の理想の妄想の世界が現実になった今の状況は。


ここはなんて答えれば。


『これだけ可愛い子が目の前に入れば、男なら誰だってヤりたいと思うよ』
ズルい答え方だとはわかっている。
所詮、ビビってこんな風にしか言えない自分がこんなとき嫌になる。



僕は明らかに心臓がばくばくで、

箱から一本取り出しライターで火を付けようとしたが、ライターが見当たらない。

あっ、とライターを貸したままだと分かった瞬間、シュボっと目の前に火が現れた。


『どうぞ』


緊張でどうにかなってしまいそうなほどの可愛い笑顔で彼女は火を差し出す。


落ち着け。餅つけ。
アホ。


『ありがとう』

火をつける。本日はじめての、タメ口。


ここは自分のペースに、持ち込まなければ。


『てか、なんでこんなところに?俺に?なんていうか、タバコが吸いたかったの?』


『質問が多いよ。』
そう笑って煙を吐く。



『申し訳ない』
僕も煙を吐く。


『さっき家帰ったらね。』

うん


『彼が命を経ってたの』



かれがいのちをたってたの



これは映画の世界か。

彼女が悲劇のヒロインで、僕が主人公。



違う。
現実だ。
頬を抓らなくても、現実にいることは認識として十分わかる。


命を絶った?
なんだその言い方は。


『命を絶ったっていうのは…自殺…ってこと?』


彼女は煙を吐く。
彼女が指に挟んでるタバコは、限界が来ていた。


それでも彼女は吸って煙を吐く。
そして言った。


『自殺だし、あたしに殺された。っていうのもある』


『は?』
僕は息を飲む。
驚いた。いや、驚愕した。
この女の子は、殺人者?
殺してきた?
なぜ僕の前に?

一瞬で頭の中がそことで一杯になる。

てか、自殺か、殺したのか、どっちだよ。
心の中で、言った。


ただ自分も、恐ろしく冷静でいられた。
これは、きっと自分が映画の主人公を気取っているからに違いない。
どこかでこの非現実な現実を楽しんでいる。


彼女は随分と短くなったタバコの火を消した。

僕が次の言葉を吐き出す前に彼女は僕に顔を向け


『もう一本、一緒に吸おう?』
彼女は幼い子供が疑問を持つように黒い大きな瞳をぱっちり開けて言う。

こんなお願いを断る男はいないだろう。


『そうだね』
僕は箱を差し出す。
彼女が細い白い指で一本抜き取る。


僕はこれしかないというタイミングで彼女の顔を火で照らす。


『ありがとう』


その言葉を聞いて自分も一本箱から取り出す。

すると彼女が

『ライター貸して。』


僕の手からライターをつまむようにして取ると、僕の顔の前で火をつける。


さっきよりいささか僕に近づく彼女の顔も照らされる。

僕はタバコの先を見ず、火に照らされる天使のような表情を見つめていた。


『優しいね』


そう言われた彼女は照れ臭そうに、そして、


やっと見せてくれた表情。
悲しそうな表情を見せた。


今度はこちらの番だ。

『ゆっくりでいいから。煙草も何本でも一緒に吸おう。』
『彼氏のことを、聞かせてほしい。』


そう言うと、彼女の気持ちを代弁したのか、それともただの気象の気まぐれなのか。

雨が降り始めた。



タグ:11月7日
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渡部篤郎という人間を思う存分凝視するドラマ『外事警察』 [映画]

こんにちは。


かなりご無沙汰しています。
死ぬほど忙しかった!って理由でブログを更新していないならいい理由なのですが全然違います。


ちとサボっていました。


最近素直に映画を観る気持ちになれなくてっていうのは前から話してましたね。


なのでちと映像から離れていました。
別にこの世界の映画を見尽くしたわけでもないのに見尽くした感があって。(浅いと言われようとなんでもいいのですが)



話が変わるんですけど、映画や音楽に位ってあるのかな?と。

”あの映画は見てないといけない。ありえない。”

”その映画や音楽しか知らないのはありえない。いけない”

そんなのってないですよね。

”観ないと損”とか”観てほしい”とかってなら物凄くわかります☆


あの映画を観ていないからあーだこーだっていうのはその人の傲慢ですね。


そんな人は僕には最近現実逃避してる人にしか見えなくなってきました。

かわいそうに。


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渡部篤郎という人間を思う存分凝視するドラマ
『外事警察』


最近は映画よりドラマを多く観ています。
いつの間に登録されていたhulu(笑)をフール活用しています。
ドラマは映画より長い時間で完結に向かえるため、演出がより細かいので最近好きです。

ちなみに、白夜行も外事警察を観る前に観てしまいました(笑)
何回目だww



この外事警察、Yahooの評価をはじめ様々なサイトでかなり評価が高いです。

渡部篤郎さん主演。

こりゃ男も女も惚れてまうやろです。



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あらすじ

日本に住む外国人の犯罪を取り締まる公安の裏の組織外事警察。
外国人の犯罪やアジトなどの潜入は、どうしても日本の警察が正式に手続きを踏めない事情がある。
その為外事警察は一般市民を”協力者”として獲得し潜入捜査をする。

「スパイ天国」と言われる日本で、公安警察の外事課とテロリストの壮絶な情報戦争、騙し合いを描いた小説が原作です。


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あらすじ、すごく簡単に説明しています。

領事裁判権のように、日本の法律が及ばないところがいくつかあります。


大使館などがそうですね。

また、外国人が日本で会員制のBARを経営しているところは犯罪のコンタクトが生まれる場所らしいです。
そこに日本人が行くと怪しまれたり、中に入れてもらえない。
そして強行突破もできないなどと、八方塞がりみたいなんです。
そこで、犯罪組織の人間と仲がいいと思われる一般市民を協力者として獲得し、その協力者に捜査させるということです。



このドキドキ感が堪らないです。

一般市民に潜入捜査をさせるわけなので、頼りないというか、『もうやめてくれ…』と凝視してしまうスリルさはこういった捜査形態だからこそのものですね。



そして、その外事警察の主任を務める住本役の渡部篤郎さんは絶対的な存在です。


時として手段を選ばない彼がどのようにして捜査をしていくというのは観るまでの秘密です。


しかし演技力すごいなぁ。
感情の表現が、表情の作り方がすごい。

渡部篤郎さんとか、武田鉄矢さん(外事警察には武田鉄矢さんは出ていません)とか目元などに皺がすごくいい形であるんですね。

これって元からある皺なのか。
それとも演技の積み重ねで生まれてきたのか。
歳をとるとできるものなのか。


この皺が彼らの演技の感情表現を更に豊かにしていっていると思います。


渡部篤郎さんの演技力はかなりの見所です。


というかもうこのドラマ彼ありきの映像作品です。


周りの役者さんもベテランが多いですが脇役に徹しています。


それほど渡部篤郎という人間に誰しもが魅了されてしまうということでしょう。


最近面白いドラマないなぁと思っている方は是非みてください!!

ドラマを観たら映画版も是非!

当たり前かもしれないんですけど、予告は映画版のものしかなかったでです.....
*映画版予告を観てもドラマ版のネタバレ要素は一切ありません!!



これも合わせて観てみると面白いです☆

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