翻弄という魅力を楽しむ。映画「三度目の殺人」 [映画]
こんにちは。お久しぶりです。
前回のブログ更新日を確認したら2016年12月。
あれから約10ヶ月の月が経ちました。あれまー
12月の末日、ある一本の電話がかかってきて僕の生活は360度変わりました。
フラフラなんとなく生きていた僕が、今はガッツリとクリエイティブの現場にいます。
本当に、人なんて一瞬の出来事で人生が変わっていくことを実感している10ヶ月間です。まぁ変わるかは自分次第ですけどね。笑
新しい環境になって一番変わったことは、映画をDVDで借りて見なくなったこと。
DVDを借りて観るって、贅沢な時間の使い方だなとはじめて知ることになりました。
映画館は必ず上映時間が決められているので、無理矢理スケジュールを組み込めばチケット買って映画館に入ったら強制的に観ることになります。
けれど、DVDは違う。違う。
レンタルに行くのも自分、観るタイミングも全て自分で決めるのです。
これ、まさにフリーダム!!!
これすごく実感!!!
なので今年は去年よりも映画館で映画を観ることが多くなりました。
日本映画会にとってはメリットしかない僕の行動。
こんな書き方をしてると良いことなんだか悪いことなんだかわからなくなりますが、相変わらず映画を見続けていてよかったなぁ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
三度目の正直・・・物事は一度目と二度目はあてにならないが、三度目なら確実であるということ。
また、二度の失敗の後に成功することをいう。
みなさんにはこの ことわざ「三度目の正直」のような経験がどれだけあるでしょうか。
僕は正直あまり実感したことはなく、どっちかというと笑いのネタにされることが多いように感じます。
ときにはチャンスであったり、ときには追い詰められるときの脅し文句であったりと使われ方は色々とあります。
この映画ではどのように「三度目」が使われているのでしょうか。
映画「三度目の殺人」
監督 是枝裕和
出演 福山雅治 役所広司 満島真之介 広瀬すず 斉藤由貴 吉田剛太郎
あらすじ
勝ちにこだわる弁護士・重盛(福山雅治)は同期に頼まれやむを得ず、30年前にも殺人の前科がある三隅(役所広司)の弁護を担当することになる。三隅は殺人の犯行を自供しており、死刑を免れない状況に陥っていた。
どうにか無期懲役に持ち込もうと調査するが、三隅は会う度に供述を変えていく。
—————————————————————————————————
是枝監督初のミステリー。
今までほぼ全ての作品で「家族」を取り上げてきた是枝監督が、
今作は犯罪/法定というシリアスな世界で人間模様を深淵まで描いていく。
いやー、観ながら是枝監督の表情がずっと頭から離れない。
そんな映画でした。
その浮かんでくる監督の表情は笑ってたのか。真顔だったのか、最後までわからない、、っていうのがまた是枝監督らしいというか。笑
最近、是枝監督が著者の「映画を撮りながら考えたこと」を読んだばかりでした。
今作と同じく福山雅治さん主演「そして父になる」では、子役には事前に台本を渡さず、撮影直前に軽く指示をして役に挑ませたそうです。
その子役もすごいことはすごいですが、一番すごいのは受け手である役者さんです。
福山雅治さんはあのとき何を発するかわからない子役に対して、役で受けて返してたというから素人にとっては驚きです。
とまぁ、是枝監督はそういった「演技」と「素/リアル」の境目を曖昧にさせた演出にいつも挑戦している人です。
この三度目の殺人でも、「そこ来るの!?」という箇所が何回かあったそうで、福山さんは雑誌のインタビューで笑いながら答えていました。
(それよりも衝撃に驚いたこともあったそうで(これ僕もビックリしました)知りたい方は雑誌とかを見てみてください。僕に聞いてくれても鑑賞後でしたらお答えします)
是枝監督は役所広司さんを日本で一番うまい役者と太鼓判を押しており、これまた役所さんも、是枝作品に出演することをずっと待ち望んでいたという(オファーが来たとき「よっしゃー!!」と叫んだそう)ことで、その二人に挟み込まれた「俳優/福山雅治」という観点からも見応えがある作品ですね。
役所広司さんは是枝監督が言わずとも、僕達も日本を代表する俳優さんですが
その期待は裏切りません。安心してください。「はいてますよね?」と前のめりにこちら側から言ってしまうぐらい。
あらすじにあるとおり、供述を変えていく三隅に観ていると冗談じゃなく本気で翻弄されていきます。
僕ら観客はもしかしたら”重盛(福山雅治)”なのかもしれません。
そして静かにひっそりと、謎と真実を兼ね備えた咲江(広瀬すず)がいます。
落ち着いて考えると
役所広司×福山雅治×是枝裕和という同業の俳優陣も憧れるほどの現場で、
19歳という小さな女優が映画の中で堂々と力強い目で演技をしていることが信じられない。
今作の彼女の演技は、まるで時間を止めるか凛然さがあった。
前作の「怒り」そして「三度目の殺人」という、とてつもなく大きな波を身体一つで渡っていく。時には波に埋もれ、息が出来ず苦しいこともあっただろう。しかし自分がもがき苦しみ、必死の思いで顔を出せたときのあの輝きを、いつまでも追いかけていきたいと思ったに違いない。
ヴェネチア国際映画祭に今作でレッドカーペットを歩いた彼女はインスタで「映画の中で生き続けたい」と言っていた。この言葉に僕は感銘を受けた。
こういうや役者がいるから、僕は映画監督になりたい。と思った。
ほんとうに、素晴らしい演技を見せてくれた。
って、いきなりどっかの雑誌のライターみたいになってる!
と3人のことは映画を観なくてもある程度は予告編でわかること!
咲江の母親役の斉藤由貴さんは一瞬で壊れてしまうのではないかと思うほどのガラスのような演技が光っていたし、満島真之介さんも、彼がいなかったら、僕達観客はちゃんとした人としての価値観でこの映画を観ることが出来なかっただろうと思うほど重要な役割を担っていた。
あー、豪華だなぁ。。
非常に豪華。美術もなぜか種田陽平さんだし。
しっかりとオリジナル原作で予算をかけられる監督が日本に今どれだけいるのだろうか。
是枝監督の映画作りをこれからも目に焼き付けていきたいと改めて思えた映画でした。
最後に僕からも少しだけ翻弄します。
この映画を観て、みなさん沢山のことを考えると思います。
多くの映画レビュアーさん達もそれぞれの解釈をお持ちですが、実はここを考える人はまだ目にしていません。
冒頭にも書いた ことわざの意味をもう一回書きます。
三度目の正直・・・物事は一度目と二度目はあてにならないが、三度目なら確実であるということ。
また、二度の失敗の後に成功することをいう。
是非、翻弄を楽しみに映画館へ!!
前回のブログ更新日を確認したら2016年12月。
あれから約10ヶ月の月が経ちました。あれまー
12月の末日、ある一本の電話がかかってきて僕の生活は360度変わりました。
フラフラなんとなく生きていた僕が、今はガッツリとクリエイティブの現場にいます。
本当に、人なんて一瞬の出来事で人生が変わっていくことを実感している10ヶ月間です。まぁ変わるかは自分次第ですけどね。笑
新しい環境になって一番変わったことは、映画をDVDで借りて見なくなったこと。
DVDを借りて観るって、贅沢な時間の使い方だなとはじめて知ることになりました。
映画館は必ず上映時間が決められているので、無理矢理スケジュールを組み込めばチケット買って映画館に入ったら強制的に観ることになります。
けれど、DVDは違う。違う。
レンタルに行くのも自分、観るタイミングも全て自分で決めるのです。
これ、まさにフリーダム!!!
これすごく実感!!!
なので今年は去年よりも映画館で映画を観ることが多くなりました。
日本映画会にとってはメリットしかない僕の行動。
こんな書き方をしてると良いことなんだか悪いことなんだかわからなくなりますが、相変わらず映画を見続けていてよかったなぁ。
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三度目の正直・・・物事は一度目と二度目はあてにならないが、三度目なら確実であるということ。
また、二度の失敗の後に成功することをいう。
みなさんにはこの ことわざ「三度目の正直」のような経験がどれだけあるでしょうか。
僕は正直あまり実感したことはなく、どっちかというと笑いのネタにされることが多いように感じます。
ときにはチャンスであったり、ときには追い詰められるときの脅し文句であったりと使われ方は色々とあります。
この映画ではどのように「三度目」が使われているのでしょうか。
映画「三度目の殺人」
監督 是枝裕和
出演 福山雅治 役所広司 満島真之介 広瀬すず 斉藤由貴 吉田剛太郎
あらすじ
勝ちにこだわる弁護士・重盛(福山雅治)は同期に頼まれやむを得ず、30年前にも殺人の前科がある三隅(役所広司)の弁護を担当することになる。三隅は殺人の犯行を自供しており、死刑を免れない状況に陥っていた。
どうにか無期懲役に持ち込もうと調査するが、三隅は会う度に供述を変えていく。
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是枝監督初のミステリー。
今までほぼ全ての作品で「家族」を取り上げてきた是枝監督が、
今作は犯罪/法定というシリアスな世界で人間模様を深淵まで描いていく。
いやー、観ながら是枝監督の表情がずっと頭から離れない。
そんな映画でした。
その浮かんでくる監督の表情は笑ってたのか。真顔だったのか、最後までわからない、、っていうのがまた是枝監督らしいというか。笑
最近、是枝監督が著者の「映画を撮りながら考えたこと」を読んだばかりでした。
今作と同じく福山雅治さん主演「そして父になる」では、子役には事前に台本を渡さず、撮影直前に軽く指示をして役に挑ませたそうです。
その子役もすごいことはすごいですが、一番すごいのは受け手である役者さんです。
福山雅治さんはあのとき何を発するかわからない子役に対して、役で受けて返してたというから素人にとっては驚きです。
とまぁ、是枝監督はそういった「演技」と「素/リアル」の境目を曖昧にさせた演出にいつも挑戦している人です。
この三度目の殺人でも、「そこ来るの!?」という箇所が何回かあったそうで、福山さんは雑誌のインタビューで笑いながら答えていました。
(それよりも衝撃に驚いたこともあったそうで(これ僕もビックリしました)知りたい方は雑誌とかを見てみてください。僕に聞いてくれても鑑賞後でしたらお答えします)
是枝監督は役所広司さんを日本で一番うまい役者と太鼓判を押しており、これまた役所さんも、是枝作品に出演することをずっと待ち望んでいたという(オファーが来たとき「よっしゃー!!」と叫んだそう)ことで、その二人に挟み込まれた「俳優/福山雅治」という観点からも見応えがある作品ですね。
役所広司さんは是枝監督が言わずとも、僕達も日本を代表する俳優さんですが
その期待は裏切りません。安心してください。「はいてますよね?」と前のめりにこちら側から言ってしまうぐらい。
あらすじにあるとおり、供述を変えていく三隅に観ていると冗談じゃなく本気で翻弄されていきます。
僕ら観客はもしかしたら”重盛(福山雅治)”なのかもしれません。
そして静かにひっそりと、謎と真実を兼ね備えた咲江(広瀬すず)がいます。
落ち着いて考えると
役所広司×福山雅治×是枝裕和という同業の俳優陣も憧れるほどの現場で、
19歳という小さな女優が映画の中で堂々と力強い目で演技をしていることが信じられない。
今作の彼女の演技は、まるで時間を止めるか凛然さがあった。
前作の「怒り」そして「三度目の殺人」という、とてつもなく大きな波を身体一つで渡っていく。時には波に埋もれ、息が出来ず苦しいこともあっただろう。しかし自分がもがき苦しみ、必死の思いで顔を出せたときのあの輝きを、いつまでも追いかけていきたいと思ったに違いない。
ヴェネチア国際映画祭に今作でレッドカーペットを歩いた彼女はインスタで「映画の中で生き続けたい」と言っていた。この言葉に僕は感銘を受けた。
こういうや役者がいるから、僕は映画監督になりたい。と思った。
ほんとうに、素晴らしい演技を見せてくれた。
って、いきなりどっかの雑誌のライターみたいになってる!
と3人のことは映画を観なくてもある程度は予告編でわかること!
咲江の母親役の斉藤由貴さんは一瞬で壊れてしまうのではないかと思うほどのガラスのような演技が光っていたし、満島真之介さんも、彼がいなかったら、僕達観客はちゃんとした人としての価値観でこの映画を観ることが出来なかっただろうと思うほど重要な役割を担っていた。
あー、豪華だなぁ。。
非常に豪華。美術もなぜか種田陽平さんだし。
しっかりとオリジナル原作で予算をかけられる監督が日本に今どれだけいるのだろうか。
是枝監督の映画作りをこれからも目に焼き付けていきたいと改めて思えた映画でした。
最後に僕からも少しだけ翻弄します。
この映画を観て、みなさん沢山のことを考えると思います。
多くの映画レビュアーさん達もそれぞれの解釈をお持ちですが、実はここを考える人はまだ目にしていません。
冒頭にも書いた ことわざの意味をもう一回書きます。
三度目の正直・・・物事は一度目と二度目はあてにならないが、三度目なら確実であるということ。
また、二度の失敗の後に成功することをいう。
是非、翻弄を楽しみに映画館へ!!
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